矯正治療には、口腔外科・補綴(ほてつ)科・保存科の3つの違った治療科目の立場があります。口腔外科は手術をして歯を抜き、歯を並べるスペースを作ることを基本としています。補綴科は歯を削って歯並びを変えること、保存科は出来るだけ歯を残すことに重点をおいています。
歯科治療の多くは治療という名目で歯を傷つけていますが、傷つけられた歯・抜かれた歯は元には戻りません。
そして機能の低下が起こります。当院ではどのような治療でも出来るだけ歯を保存する事を大切にしており、矯正治療においてもそれは同じです。短期の治療ではなく、患者さまの長い人生を考えればこその選択です。
歯を抜かない矯正治療
歯並びが悪い事の原因は、歯が正しい位置に生えない場合や指しゃぶりなどの悪い習慣の他に、歯と顎の大きさとのアンバランスがあります。
それは、歯が大きすぎるのではなく顎が小さいという事です。小さい顎に歯並びを合わせる為に歯を抜くというのが矯正歯科の考えですが、小さな顎を正しい大きさに拡大して歯を正常に並べる、これが保存科の矯正の考え方です。
歯が並ぶのに必要な正しい大きさに顎を拡げれば、歯を抜かずに矯正が出来ます。つまり、顎を拡げて歯を並べる『保存』の立場に基づく非抜歯矯正が床矯正です。
床矯正の良い所
- 治療費が安い
- 永久歯を抜かない
- 早期に治療が開始出来る
- 痛みがほとんどない
- 装置を外して歯磨きが出来るので、虫歯になりにくい
顎を拡大するとは?
床矯正で用いる装置は、歯の付いていない入れ歯のようなものです。
つまり、入れ歯のピンクのプラスティックの部分(床)だけのものです。ただ、床矯正装置の床の部分にはねじが組み込まれていて、床が動くことで歯を前や後ろに押して移動させる仕組みになっています。同じ原理で顎を横に拡げることも出来るのです。装着の時間は就寝時1日10〜12時間くらいの装着が理想です。
こんな方はご相談ください
- 上の歯が下の歯より前に出ている状態です。
上の歯が過度に突出している場合口が閉じにくく、口腔内が常に乾燥し虫歯や歯周炎を起こすことが多くなります。 - 下の歯が上の歯より前に出ている状態です。食べ物がよく噛めないだけでなく、発音も聴き取りにくくなります。
- 歯が重なっている状態です。歯ブラシが行き届かず汚れが残りやすくなります。虫歯や歯槽膿漏の原因にもなります。
- 奥歯は噛んでいても、前歯が噛み合わずに開いている状態です。
食べ物が噛み切れなかったり、正しい発音が出来なかったりします。発症の時期によって治療方法が異なってきますのでご相談ください。 - 前歯が深く噛み合っていて、場合によっては、下の歯が上の歯肉を傷つける状態です。
- 通常は臼歯部(奥の歯)は上顎の歯が、外側にある状態が正しい位置ですが、その部分の噛み合わせが逆になっている状態です。この状態が長く続くと、上下顎の歯の真ん中がズレ、同時に顔の変形にもつながります。